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2026-07-04AI活用

経営者がまず知るべき生成AIの基礎用語10

「AI担当者と話すと、知らない言葉だらけ」

商工会の勉強会でも、ITベンダーとの打ち合わせでも、AIの話になると専門用語が飛び交います。「LLMを使って」「プロンプトを工夫すれば」「ハルシネーションに注意が必要で」──聞き流しているうちに、話の核心が見えなくなる。

経営判断の材料として最低限必要な10語を整理します。全部覚える必要はありません。「この言葉はこういうことか」と会話についていけることが目標です。

生成AI基礎用語10 ── 経営者が押さえる最小セット

AI本体を理解する3つの言葉

1. 生成AI(ジェネレーティブAI)

文章・画像・データを自動で生成するAIの総称です。ChatGPT・Claude・Geminiといったサービスが代表例です。

「質問に答えてくれる」「文章を書いてくれる」「資料を要約してくれる」──これらはすべて生成AIの機能です。製造業での活用では、見積文書の下書き・日報の整理・社内マニュアルの作成などに使います。

2. LLM(大規模言語モデル)

Large Language Modelの略で、生成AIの「頭脳」部分にあたる技術です。

インターネット上の膨大なテキストを学習し、「この文脈で来たら次はこの言葉が来る」というパターンを極限まで学んでいます。その結果、自然な文章の生成・要約・翻訳・質問回答ができます。「生成AI」がサービス全体を指すのに対し、「LLM」はその根幹にある技術を指します。

3. モデル

AIの能力を決める「学習済みプログラム」のことです。ChatGPTの「GPT-4o」、AnthropicのClaude等、製品ラインナップのように複数のモデルが存在します。

モデルによって「得意な処理」「一度に扱えるテキストの長さ」「コスト」が異なります。ベンダーが「どのモデルを使いますか」と聞くのは、この選択です。

使い方を理解する2つの言葉

4. プロンプト

AIへの指示・質問文のことです。「何を」「どのように」出力させるかを文章で伝えます。

同じAIを使っても、プロンプトの書き方次第で出力の質が大きく変わります。「見積依頼のメールを書いてください」より「〇〇製品について、納期・数量・単価の確認を含む問い合わせメールを、丁寧な書き言葉で書いてください」と具体的に書くほど、使える回答が返ります。現場での活用精度は、このプロンプトの設計に多くが依存します。

5. トークン

AIがテキストを処理するときの「単位」です。日本語では、だいたい1〜2文字が1トークンに対応します。

重要なのは、AIの利用コストがトークン数で決まる点です。長い文章を入力するほど、長い出力を求めるほどコストが上がります。「長い文書を毎日大量に処理したい」という用途では、事前のトークンコスト試算が必要です。

落とし穴を知る1つの言葉

6. ハルシネーション(幻覚)

AIが事実と異なる内容を、自信を持って生成する現象です。存在しない製品・規格値・統計数字を「あるかのように」出力します。

製造現場で注意が必要なのは「技術的な内容・数字・固有名詞」の取り扱いです。AIが生成した仕様書・規格値・取引先名は、必ず人が確認する手順が必要です。ハルシネーションを知っているかどうかが、AI導入の成否を分ける重要な分岐点のひとつです。

活用を広げる4つの言葉

7. RAG(検索拡張生成)

Retrieval-Augmented Generationの略です。社内の資料・データをAIに参照させる仕組みを指します。

通常の生成AIは一般的な知識で回答しますが、RAGを使うと「自社の製品仕様書」「過去の見積書」「社内手順書」を事前に読み込ませたうえで回答させることができます。「自社の情報を踏まえて答えてくれる」状態に近づける技術です。

8. API

Application Programming Interfaceの略で、AIを他のシステムや業務ツールと接続するための「窓口」です。

たとえば社内の受発注システムとAIをAPIで接続すると、「新着注文の内容を自動で要約して担当者に通知する」といった連携が可能になります。APIを活用するには開発の知識が必要ですが、「何が実現できるか」を理解しておくと、ベンダーとの会話が具体的になります。

9. ファインチューニング

特定の用途に向けてAIを追加学習させることです。「製造業の品質管理文書」を大量に学習させると、その分野に特化した回答精度が上がります。

ただし費用・時間・データ整備のコストが高く、製造業の現場では最初の選択肢になりません。RAGで目的を達成できることが多く、ファインチューニングはその後のステップとして検討します。

10. SaaS型AI(クラウドAI)

月額制で使えるクラウドAIサービスです。ChatGPT・Claude・Microsoft Copilotなどが代表例です。

自社でサーバーを用意せずに使い始められ、初期費用を抑えられます。製造業の中小企業がAIを試す場合、まずこのSaaS型AIから始めるのが現実的な入口です。機密情報をクラウドに送ることへのセキュリティ対応(入力ルールの整備)は別途必要ですが、多くの場合ルールを決めることで対応できます。

この10語で、現場の会話が変わる

プロンプトからAI回答までの基本的な流れ

専門用語を覚えることが目的ではありません。「この機能を使うにはAPIが必要だ」「ハルシネーションのリスクがある業務だから確認フローが必要だ」──こうした判断を、自社で下せるようになることです。

長野・諏訪・岡谷の製造現場でのAI活用相談では、まず「どの用語が今の課題に関係するか」を一緒に整理するところから始めます。効果が見込めない場合は、その旨をはっきりお伝えします。